掲載をご検討の企業様
ひとめぼれ企業ライブラリー 伊っ達 仙台・宮城求人.comが出会った魅力的な企業を紹介
ひとめぼれ企業ライブラリー 伊っ達 仙台・宮城求人.comが出会った魅力的な企業を紹介

種をまいておけば、いつか必ず芽吹くから ~芽吹くのを待つワクワクを、次の世代へ~

有限会社板倉農産
種をまいておけば、いつか必ず芽吹くから ~芽吹くのを待つワクワクを、次の世代へ~ 宮城県登米市・有限会社板倉農産

【原点】ザリガニやホタルがいた原風景を守りたい


宮城県登米市。
美しい栗駒山を背に広がる田園の中に、有限会社板倉農産はあります。
代表の阿部善文さんは、かつて県の試験場でお米の品種改良に没頭していたプロフェッショナルです。
「昔の水路にはザリガニやホタルがたくさんいてね。
今は景色も変わってしまったけれど、あのありふれた生き物や風景を次の世代に残してやりたい。
それが30年前の法人化からずっとブレない、うちのテーマなんです」




【共生】渡り鳥(マガン)の飛来に合わせる米作り


本当はアイガモ農法をやりたかったけれど、鳥インフルエンザの心配があって難しくなっちゃって。今は少しでも農薬を減らせるよう除草ロボットを使いながら、自然に寄り添う米作りを続けています」
そんな田んぼには、毎年秋になるとシベリアから何万羽ものマガンがやってきます。
「うちの収穫は、保護団体から『マガンが来たよ』と連絡をもらってから始めるんです。
それが秋の合図(初刈り)。
そして、彼らが冬を過ごす間、うちの田んぼは春まで絶対に耕しません。
土を起こしちゃうと、彼らのごちそうになる落ち穂が埋もれちゃうからね。
鳥たちと共に生きる、優しい時間がここには流れています」




【繋がり】朝4時に売り切れるお野菜と、顔を合わせる喜び


お米をお休みする畑では、息子さんたちが中心となって甘いトウモロコシや、大人気の枝豆を育てています。
「うちの枝豆は一度食べ始めると本当に手が止まらなくなっちゃうから、お客さんから『食べる手が止められなくなる魔法でもかけてるんじゃないの?』なんて驚かれるくらい美味いんだよ。朝の4時から畑で収穫して選別している間に、遠方から『待ってました!』って買いに来てくれるお客さんであっという間に全部売り切れちゃうんです」

そんな地元の方々や、全国で自分たちのお米やお野菜を待ってくれている人たちとの「顔が見える関係」を、阿部社長は何よりも大切にしています。

「どんなに世の中が変わっても、うちの作ったものを『美味しいね』って喜んで待っていてくれる人の存在が、私たちの毎日の力になっています。やっぱりね、食べてくれた人から直接届く『いつも美味しいよ、ありがとう』っていう一言。これ以上の励みは、この仕事にはないんだよね」




【感動】汗を流して食べる、ご飯のおいしさに気づくとき


「食べ物がどう作られているか見てみたい」と、全国から多くのインターンや研修生がやってきます。過去には東大生の男の子たちも泊まり込みでやってきました。
「朝食の前にしっかり2時間働もらって、それから炊き立てのご飯、味噌汁、納豆だけの朝ごはんをみんなで囲む。彼らは『こんなに美味しいご飯は人生で初めてだ』って本当に感動するんだよ。携帯ゲームの生活から離れて、汗を流してお腹を空かせて食べる。ただそれだけのシンプルなことに、生きる楽しさのすべてが詰まっているんですよね。 泥にまみれて過ごすうちに、どんどん表情がキラキラと輝いていく。その変化を見るのが本当に嬉しいですね」




【未来】まずはやってみる。最初の一歩を応援したい


阿部社長のワクワクする挑戦はまだまだ続きます。
「いずれは、採れたての味をその場で食べてもらえるような『体験の場所』を作りたいんだ。生産現場の風景そのものが、一番のごちそうになるからね。 若い子たちに期待しているのは、難しい技術なんかじゃなくて、『土に触れて、働く喜びを知る』体験そのもの。経験なんて最初からなくていいんだよ。うちの農場を、自分の新しい可能性を見つける『体験の場』として、大いに使ってもらいたいんです」

何か新しいことを始めてみたい。そんな若者たちが安心して飛び込み、次の道を見つけられるよう、阿部社長は温かく背中を押します。 「私たちの仕事はいつでも『耕して、種をまく』こと。 『どうしようかな』と悩むくらいなら、とりあえずまずはやってみる、種をまいてみる。蒔いておけば、いつか芽吹いて収穫できるチャンスが生まれるでしょう?確率は五分五分かもしれないけれど、何もしなければゼロだから。まずはやってみて、間違えたらあとから直せばいいんだよ(笑)」



「自分から心を開いて、なんでも気さくに話せる関係でありたいんだよね」
取材の合間、阿部善文社長はそう言って、まるで父親のように優しく微笑んでくれた。
相手との間に壁を作らず、等身大のままで温かく迎え入れてくれる。
その飾らない佇まいの中には、お米作りに対する確かな誇りと、自然、そして何より「これからの一歩を踏み出す若者」への深い情愛がしっかりと息づいている。

朝早くに起きて土に触れ、お腹を空かせてみんなで食べる一杯のご飯。

有限会社板倉農産での時間は、単なる仕事の枠を超えて、忘れていた生きる喜びを思い出させてくれた。
阿部社長の温かい人柄に守られながら、自分の新しい可能性の種を安心してまくことができる、そんなぬくもりに満ちた場所だった。

企業情報

企業名
有限会社板倉農産
本社所在地
〒987-0402
宮城県登米市南方町後屋敷待井11
設立
1996年2月